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ブレーキオーバーホール ロードスターの持病・ブレーキ固着 ロードスターでもっとも多くトラブルが出る「持病」の一つに、ブレーキ固着があります。サーキットへ通っていて頻繁にブレーキパッドを交換し、そのたびにブレーキキャリパーをグリスアップしている人はまず、安心です。しかし、ストリートを中心に長い間ブレーキ整備をしていないロードスターの中には、一見、ブレーキは利いていても、キャリパーにさびが発生して固着し、実は完全に機能していない場合があります。リアに発生する場合が多いようです。 固着状態となると、さまざまな症状が出ます。サイドブレーキの利きが悪い、片利きする、ぐらいだと積極的に修理しようと思わないかもしれませんが、放置するうち、走行中にブレーキがかかったままの状態となる場合があります。ひどい場合は、ブレーキローターが真っ赤になってパッドから煙りが出ていることもあります。真っ直ぐ走っていたにもかかわらず、突然リアの片側のブレーキが利いてスピン状態に陥ったという危険な話も聞きます。症状に心当たりのある人や不安のある人は、点検を申し付けください。 ブレーキオーバーホール工賃
OH時オプション
ブレーキ関係工賃
ロードスターのブレーキは「フローティングキャリパー」という仕組みで、ローターの両側から油圧で締め上げるのではなく、ローターの内側にある1つのピストンがブレーキパッドを押す仕組みになっています。 スライドピンを軸にキャリパーが左右に動くようになっているので、内側から押せば、その反力で外側のパッドもローターに押しつけられる仕組みです。 スライドピンはゴムのブーツでカバーされていますが、経年変化でブーツが劣化すると、水やブレーキダストなどが侵入してスライドピンやキャリパーにさびが発生し、ひどくなると固着してしまいます。 固着した場合、ブレーキローターを押すのはピストンだけで表側のパッドは遊んでいる状態となってしまい、利きが弱くなったり、サイドブレーキが片利きになったりといった現象が起きてしまうのです。逆に、さびで動いていなかったキャリパーがブレーキを強く踏むなどして動いた場合、今度は戻らなくなってパッドとローターが接触したままとなり、最悪の場合は走行中に突然ブレーキが利いてしまう、という危険な状態になるわけです。 表から見てブレーキパッドが減っていなくても、裏が減っていないとは限りません。表が7ミリで、裏が2ミリという例が実際にあります。特にNA型のロードスターで1度もオーバーホールをしていない場合、まずブーツは固くなったり破れたりと、劣化していると考えて間違いありません。 写真の上側のスライドピンがさびてしまうと、マウンティングサポートごとの交換(NA6CEのリアで約6,000円。下側のピンは部品が出るので約400円)になり、キャリパー側にも問題があれば、キャリパーごとの交換(NA6CEのリアで約24,000円)になってしまいますので、高額の出費を強いられることになります。
さらに、ピストンやシリンダにさびが発生しているロードスターも多いのです。ペーパーで磨いてきれいに落ちる程度のさびであれば復活しますが、ピストン表面にさびが食い込んで虫食い状態になっている状態だと交換となります。
メーカーからはピストン単体での部品供給はありませんが、フロント側のピストンはマルハモータースが保守部品としてラインナップしているので復活可能です。リア側のピストンが使えない場合は、中古部品がない限り、キャリパーASSY交換となってしまいます。ロードスターを維持する場合には、車検時に最低限ブレーキをばらしてグリスアップしてくれる業者を選ぶことをお勧めします。不安があれば、ぜひ点検をお申し付けください。 オーバーホールでは、キャリパーを取り外して分解洗浄し、シリンダーなどをホーニング。新しいゴムブーツを取り付けてグリースや焼き付きを防止する耐熱潤滑剤などを要所に使いながら組み上げます。ブレーキパッドの交換や、ブレーキホースの交換を希望する場合は、あらかじめ予約時に指示してください。ブレーキフルードも全交換となります。 さらに、リアキャリパーの調整機構がさび付いて、アジャストギア(350円)、アジャスタースピンドル(330円)、プッシュロッド(210円)の交換が必要な場合があります。交換が必要かは適宜判断させていただきます。 リアキャリパーのサポートに付いているスライドピン以外のリア1本、フロント2本のスライドピンについては新品に交換可能です。下の写真の通り、メーカーによる改良が加えられている部分ですので、せっかくオーバーホールするのであれば、それほど高い部品ではないので交換をお勧めします。
オプションのブレーキフルードが高めですが、ビリオンの「スーパーブレーキフルード」を強くお勧めしています。特にサーキットを走る方には、入れ替えた後のかっちりとした剛性感があり、踏力がリニアに伝わるタッチに満足してもらえると思います。過酷な間瀬耐久レースでまったく問題が起こらなかった実績もあります。 ストリートユースでも劣化の小ささで、2年は入れ替えが不要(2、3年の使用に相当する1%の水分が混入しても、沸点が283度とDOT5レベルを保つとのことです)。お薦めです。 |